シーズンオフかと思いきや。

2014年11月18日火曜日

日常

t f B! P L
こんにちは。地域医療連携室の佐藤です。

※本日のブログはお食事中の皆様はご覧にならない方がよろしいかと思います。

さて、あれは少し前の事です。

すっかり寒くなり、冬を感じつつ、しかし少しでも暖かい気温が続けば
いいなと思っていたある日の午後、私は自分のデスクの横に、何かの
物体を発見いたしました。

まさか…。

そんな、まさか…。

今や冬が訪れているというのに…。

私は目を疑いましたが、その姿は紛れもなくあれだったのです。

そう、私のすぐそばにいたのはKことカメムシでした。

虫を苦手とする私にとっては一大事です。

寒くなり、もう来年までその姿を見ることはないであろうと安心して
いただけに、よりショックは大きいものでした。

しかし、私もこの手稲金山の地で働くようになり、もうすぐで丸4年に
なろうとしています。

その間ただ単に虫に怯え、Kを避け続けていたわけではありません。

確かに、そのほとんどは他のスタッフがKと戦っている横で懸命な応援
を行っていただけではあります。

しかし時には私も戦いに参加し、また刺激を与えずに捕獲する術を
開発したり、少しでも気が楽になる呼び名はないものかと考えたり
(Kの季節)していたのです。

ここはひとつ落ち着いて、これまでの経験を生かさなければ。

そう決意した私は、一人でKに立ち向かうことにいたしました。

その時間は自部署に私しかいなかったということもありますが…。

私はガムテープを取り出し、少しだけ切り取ると、そっとKに近づきました。

そして意を決し、それをKの背中につけることで、粘着面へ接着することに
成功したのです。

あとはもう一枚の切り取ったガムテープで囲い込みを行えば捕獲は完了
となり、実際に何度かはこの方法で成功しておりました。

ところがです、この日のKはそうすんなりとは戦いを終わらせてくれません。

動き回り、何とか自由を確保しようとしています。

Kは何も悪くないのに、かわいそうだな。そんな思いも頭をよぎったのです
が、しかしそのまま室内を自由に飛び回ってもらっては困ります。

かと言って今の私の技量では、院外に逃がしてあげる腕もありません。

申し訳ない。そう思いながら再度捕獲を試みたその瞬間です、何ともいえ
ない悪臭が漂ってまいりました。

そう、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、カメムシは刺激を受ける
と自己防衛のために悪臭を放つのです。

臭いはみるみるうちに室内へと広がっていきます。

しまった…!と焦りつつも、何とかそのまま捕獲し、Kとの一戦は幕を
閉じたかのように思われました。

しかし、本当の戦いはここからだったのです。

捕獲からしばらくして、室内の臭いはなくなり、平穏を取り戻しました。

にもかかわらず、やはりほのかにKの臭いがします。

おかしい、なぜなのか、そんな疑問を抱きつつ鼻をかもうとしたその時です。

私の手が、くさい…。

私の右手の親指と、人差し指と、その間が確かにくさいのです。

もう一度鼻をかもうとすると、やはり「くさっ」となります。

それとは関係なく手を鼻に近づけるともっと「くさっ」となります。

さっ、と右手を振り上げてみてもやっぱり「くさっ」となるのです。

どうやら、Kとの戦いの中で手に悪臭の成分がついてしまった
ようで、その後何度も何度も石けんをつけて手を洗ったのです
が、一向に臭いは取れません。

これはどうしたものかと悩みました。

鼻炎持ちの私は年間を通して鼻をかんでいます。しかしその度にくさい
思いをするのは避けたいですし、周囲の方々から「なんか、あの人って
カメムシくさいよね」とヒソヒソ話をされては切ないものがあります。

どうしよう…。

困った私は少し調べてみることにいたしました。右手は、なるべく静かに
動かしながら。

そこでわかったことは、カメムシの悪臭の主成分は「トランス-2-ヘキセナール」
というものであり、親油性、つまり油によく溶けるということでした。

サラダ油などをよく馴染ませてから石けんで洗うと、きれいに臭いが
取れるというのです。

これは良いことを聞いたと希望が持てたものの、もちろん私の周りに
サラダ油などはありません。

かと言って自宅に帰るまでくさいままですと、周囲のスタッフや、何より
訪問先の皆様にご迷惑をおかけすることにもなります。

サラダ油…、サラダ油…、と考えて思いついたのは当院の栄養科でした。

私はすぐに栄養科へと向かい、そして責任者であるスタッフに言ったのです。

『僕の手にサラダ油を塗ってください』、と。

日頃より何かと協力をしてもらっている栄養科スタッフではありますが、
さすがにこの時は目を丸くしておりました。

しかしその後は事情を説明し、ほんの少しのサラダ油をわけてもら
えることに。

しっかりと塗り込んでから手を洗ったところ、きれいに臭いは消え、
事なきを得ました。

この日は、シーズン最後のKの意地と、そして瞬時に情報を収集
できる素晴らしさを身をもって感じたような気がします。

皆様も、カメムシの臭いに悩まされた際にはぜひお試しください。

それでは。

 

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